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物言わぬ物たち

ブログの初回は、在職していた幼稚園で創立から継続して発行している文集「モザイク」に掲載した文です。


■□■ 物言わぬ物たち ■□■

 幼い頃からいつも下を向いて歩いていました。…あら、暗い性格だったんですね…なんて言わないでください。小さい時から小さかった私の目は、自然に下の方に向いてしまうのです。
 下を向いて歩いているといろいろな宝物に出合います。木の実や色付いた葉っぱ、コロコロまん丸の石や面白い形の木の小枝…。中でも私の目を輝かせたのは、ガラスの破片でした。青色・茶色・緑や白色…雨に打たれている内に角がとれて、柔らかい色や形になっているのです。
 私のポケットにはいつも何かしらの宝物が入っていました。
  
 今の私は、そんな幼い頃からの宝探しが高じて、物言わぬ物たちとの、幸せの夢空間を実現させようとしています。
 小さな私の目に宝物のように映った石ころやガラスの破片は、キラキラ輝くクリスタルや様々な姿・形の鉱物に発展し、私を魅了し続けているのです。

 先日、「ミネラルショー」という、大イベント会場に招待され行ってきました。
 大きくて広いホールの2階と3階に、世界中から終結したと思われる鉱物や化石、そのビッグさにびっくりし、同時にワアーッという感嘆の声を発してしまう、物言わぬ物たちの声なき声!…まるで「あなた達が知らない、地球の…いや宇宙の“果てしない物語”を伝えに来た」と言わんばかり…。
 そんな鉱物や化石の声とは裏腹に、会場内はあたかも師走のアメ横の雑踏ぶり…、少々目まいや頭痛を感じながらも、まる一日をそこで過ごしてしまいました。
 どうしてこんなに石達に魅力を感じてしまうのだろう…と思いながら、私の中ではその魅力の秘密とはとうに出合っているのを感じています。
 会場の入口を入ったすぐのところに琥珀を専門に扱っている店のブースがありました。目に飛び込んできたのは、美しい緑色の琥珀です。「エッ?緑色?」と、しばらくながめていましたが、本当にきれいな色でした。有名な化石の一つであるアンモナイトも、虹彩に輝くもの在りで、何故こんな色なの? 何故こんな風に結晶したの? と問いかけてしまうほどです。 小さな石の中には太古の地球の生命が、長年の時の流れの中で変容しつつ封じこめられています。外から見ると石の固まりにしか見えない物ですが、割ってみると、中には茶褐色のキラキラ光る結晶がびっしり…割ってみるまで誰もその本質に出合うことはできないのです。同様に、表面を覆い隠しているものを取り去り、磨いて磨いている内に、姿の奥に秘められた本当の美しさが輝き出す…「瑠璃も玻璃も磨けば光る」*ということわざがあるように、石は私達人間に、その存在を通してメッセージを伝えようと、静かに静かに内的な輝きを見せているのかも知れません。

 物言わぬ物たちの上を、靴底で踏みつけて歩いている私達。そんな扱いにもじっと耐えながら、自分の存在に気付いた者へ、熱い視線を送っているのでしょう。過去から続く悠久の時の流れの一瞬の生に翻弄されている人間達へ。


 (筆者注)
  *瑠璃も玻璃も の後は……幼い頃遊んだ「いろはかるた」で磨けばと思い込んで覚えてしまいましたが、最近、その部分が「照らせば」であることがわかりました。
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プロフィール

popo

Author:popo
●笹井鳩子profile

 中央林間にある大和田園幼稚園に6年、横浜鶴見の橘幼稚園に34年勤務。(内28年を園長として、2年を顧問として務める。)
長い間幼児教育の道を歩む中で、シュタイナーの人間学に出合い教育観を深める。
また、経験を通して「人は人の中で人となる」を実感する。
退職後、「自らの手で作る喜びを味わう」・「人が出会い絆を結ぶ」、この二つを実現すべく、創造と交流の場として『創造空間Lula & Popo』を開設。

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